まち育て

 「市民・行政・企業の協働作業により、環境(人工・自然・歴史・文化・産業・制度・情報など)の質を持続的に育み、それにかかわる人間の意識・行動も育まれていくプロセス」

 一宮地域にも深く足跡を残した、故 延藤安弘は「まち育てを育む 対話と協働のデザイン」(東京大学出版会 2010年7月)の中で「まち育て」をそう伝えています。

 この本に先立つこと4年、2006年6月には「私からはじまるまち育て 〈つながり〉のデザイン10の極意」(風媒社)が出版されています。ここには各地で独自に活動しつつ、延藤先生を師と仰ぐ様々な「まち育て」作業が整理されています。当時、延藤組(後のNPO法人 まちの縁側育くみ隊)と、一宮の杜の宮市やまち遊び総研(後のNPO法人 志民連いちのみや)がどう繋がり、どんな「まち育て」に取り組んでいたかも記録されています。

 そしてその後、この一宮のまち育てはどうなったか。残念ながらボタンのはめ違いの連鎖が続く中、”まちづくり失われた10年”が過ぎていきました。その間、まちは疲弊し、ひとは消え、お金はいよいよ地域で回らなくなっています。

 今、コロナの中にあってもう一度、私たちは長期のまちなか再生とそれを核にする地域全体のまち育てを模索しなくてはならない局面に至っています。

 もう一度、2007年から空白になっている一宮地域の中心市街地のイノベーションを考え、議論し、実験し、検証していく基盤づくり、プラットフォームづくりと、それに関わるボランタリーな市民・行政・企業の協働にかかわる多様な人々を太くまた緩やかに繋いでいく作業の必要は、いかばかり大きいでしょう。

この2つの側面で、一宮地域でもう一度、まち育てに取り組みなおす実験的な取り組みをしたいのです。

毎週まちなか138「ウィークエンドは遊歩街」企画案

 小さな杜の宮市「まちの宮市」を社会実験として何度も開催しつつ、そうした「まつりづくり」による常態的地域活性化を模索する取り組みをオープンにし、ご意見ご批判をいただき、さらに実際に実施してテストしていく作業を始めます。下記をご参照ください。

毎週まちなか138「ウィークエンドは遊歩街」企画案

2003年5月13日、NPO法人まちの縁側育くみ隊の設立イベントにて、全国から集ったまちづくりエンギニアに語りかける延藤安弘先生 橦木館にて